東京高等裁判所 昭和30年(う)2566号 判決
被告人 徳田健次
〔抄 録〕
弁護人Kの控訴趣意第二点について。
所論に基いて記録を査閲するに、原判決の証拠の標示欄には、その第五行に、「笹原文次外二名の当公判廷における供述」とあるが、原審においては、証人として、第二囘公判期日に萩原桂一、笹原文次、鈴木重三および小林政雄を、第三囘公判期日に内藤敏、沢口正人を、第四囘公判期日に久宗繁男を第五囘公判期日に萩原桂一(再度)を各尋問し、それらの尋問に対する供述は孰れも各公判調書に記載されている。故に、原判決のように、単に「笹原文次外二名」の証人の供述というのみでは、その「二名」とは右各証人中笹原文次以外のいずれを指すのか、また、もし萩原桂一なりとすれば、同証人のいずれの公判期日における供述を指すのか全く特定し難い。斯ような不明確な証拠の挙示方法では到底刑事訴訟法第三三五条第一項にいわゆる「証拠の標目」を示す方法とは謂い得ないものであり、而して此の違法は事実の認定および刑の量定等に際し判決に影響あるは明らかなこと所論のとおりである。従つて、原判決は此の点において結局破棄を免れない。論旨は理由がある。
そこで弁護人Kの控訴趣意第一点ならびに被告人および弁護人Oの各控訴趣意全部に対する判断は孰れも之を省略し、刑事訴訟法第三九七条第三七九条第四〇〇条但書により直ちに原判決を破棄した上更に判決する。